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父親から財産放棄の誓約書への署名を強要される

木村敏弘さん(仮名)

 

編集:木村さん、こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。
木村さんは、ご家族との間でトラブルがあったと伺っていますが、木村さんの家庭連合の信仰に対してご両親は元々どのように思っておられたのでしょうか?

 

木村さん(以下、木と省略):私は、高校を卒業して就職後すぐのころに統一原理に出会い、その理路整然とした内容や、他者のため、国のため、世界のために生きるという家庭連合の理念と活動に感動して、1980年代前半に入会しました。両親には、私が入会したころに統一教会(家庭連合)に通っていることは話していましたが、両親は当初から新宗教に対する不信感を持っている様子でした。それからしばらく経ったころ、私を棄教させるために拉致監禁されかけたことがありました。

 

ある日、教会で統一原理の講義を受講して帰宅する途中で、突然、父や叔父さんなど7~8名ほどの男性に囲まれて、あっという間に車に押し込まれました。私は必死に抵抗しましたが逃げることはできませんでした。車は、叔父さんの車だったと思います。行き先は分かりませんでした。途中で車が一時停止した隙に、私は車から飛び出し、走って逃げました。

 

その出来事の後、両親が私を他県の実家に連れ戻そうと何度か教会までやってきました。当時の教会スタッフの勧めもあって、私の方から実家に帰省して両親と話し合いの時間を持ちました。その時、両親は私に、統一教会を批判する反対派の本を読ませましたが、それでも私の考えは変わらず「教会を続ける」と話したので、一旦は和解したような形で落ち着きました。

 

ただ、両親との関係は元通りになったとは言えず、私に対しては常に不信感を抱いている様子でした。その後は頻繁に連絡を取ったり、妻を連れて帰省したり、子供が生まれてからは見せに行ったりしながら、時間をかけて徐々に両親との信頼関係を回復していきました。

 

2021年に私の母が亡くなるまでは、私たち夫婦が兄弟の中で最も頻繁に介護や手伝いのために時間をかけて両親のもとに通っていたこともあり、父も私たち夫婦を信頼してくれるようになりました。母が亡くなる少し前に、父は私に対して「(実家に)帰ってこないか」と何度も打診し、「この家は〇〇(木村さんの本名)に継がせる」と一筆書いたものを私たち夫婦に見せてくるほどでした。

 

:2022年7月の事件以降、ご両親との関係性はどのように悪化したのでしょうか?

 

:マスメディアの家庭連合へのバッシング報道が激しくなり、私たち夫婦への父の評価は一気に悪化しました。父に電話しても、「実家には帰ってこなくていい」「帰省もしなくていい」と言われるようになりました。

 

また父からは、母の一周忌にも来てほしくないと言われたのですが、何とか許可を得て私だけ参加しました。実家に帰ると、父がこれまで一切支持したことがない日本共産党の議員のハガキが机の上に置いてありました。そして父は「教会をやめろ!やめたと言っても洗脳されているだろうからどうしようもない!」の一点張りで、私が何を話しても無駄で、不信感を露わにしました。

 

そんな状況が、2023年の母の三回忌の時に一変します。これまで法事の出席は拒絶されていましたが、父から「必ず夫婦で出席しなさい」と連絡が来たため、若干不安に思いつつ夫婦で出席しました。法事が終わって僧侶が退席した後、私たち夫婦は父、兄弟2人、叔母、叔母の夫などの親族合計7人くらいに取り囲まれ、「反社のお前達だから、何をするか分からない。縁を切らないのであれば、(父の)財産を放棄する(相続しない)ことを誓約する書面に署名しろ!」と一同から迫られました。書面は父の手書きで、私が名前と住所を記入する形式になっていました。妻も恐怖を感じていて、その場は何を話しても署名するまでは帰ることができない状況だったので、不本意ながら書面に署名しました。

 

:そのような経緯だったのですね。その後、お父様との関係はどうでしょうか?

 

:父には様子を聞くため時々電話をしますが、必ず私たち夫婦の信仰を一方的に批判する言葉が出てきます。すぐに関係が良くなることはなさそうです。

 

今年(2024年)に入って、私一人で一人暮らしの父のもとを訪ねて、母の三回忌の時の署名について改めて聞いてみました。色々と話しましたが、父が私の信仰を理由に財産放棄の署名をさせたことは間違いがないようでした。父の財産は主に実家の家と土地ですが、もし私が相続した場合、家を「統一教会の拠点」として使われることを懸念しているようでした。

 

私は、一度も実家の土地や家を相続したいと話したことはなく、父に委ねようと思っていました。ましてや、家庭連合の活動拠点にしようなどとは、考えたこともありません。父の話は、父の勝手なイメージから出てきたもので、あまりにも現実離れしていて驚きました。これまで息子として純粋な思いで行ってきた母の介護や、父の手伝いについても「何か“魂胆”があったんだろう!?」と父に言われるようになりました。財産の相続云々ということ以上に、これまで築き上げてきた親子関係があっという間に崩れてしまったことが本当にショックで、私の妻も悲しんでいます。

 

ところで父は、マスメディア、特にテレビのワイドショーなどをいつも見ていて、その偏った番組内容をそのまま信じてしまうことが多いです。こと家庭連合に関しては、私が実際に体験してきた教会や家庭の様子を話しても「いや、テレビではこう言っているから」と言って、私の話にはまるで聞く耳を持ちません。例えば、私の子供たちは信仰を継承した子もいればそうでない子もいるのですが、親としてどの子供とも同じように接しています。しかし父は、「二世はみんな親の被害者だ」と信じて疑わず、私たち夫婦を責めてきます。

 

私は、マスメディアには公正な報道をしてほしいと思います。テレビの番組内で元信者の声を取り上げることに反対はしませんが、感謝して信仰生活を送っている現役信者の声も同じくらい取り上げてほしいです。私たちは、諦めずに声を上げ続ける努力をしていかないといけないと思っています。

 

:木村さんとお父様との関係性が、一日も早く修復されることをお祈りしています。
お話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

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