ファミリースナップ
Family Snap二人の娘が日本とスリランカの架け橋に
南さんご家庭【後編】前回に引き続き、長野の国際カップル、南さん家庭のご紹介です。奥様のシャーミニさんはスリランカのタミル人。お二人の娘さんは小学4年と幼稚園。後編は、家庭を出発し、国際カップルの子育てについてお話を聞いています。
編:日本に来て長野という非常に寒い地域に住んだわけですがいかがでしたか?
妻:寒かった。笑
夫:長野に来たのが12月だったんですよね。家庭修に必ず出るように言われていてその開催が12月末だったのでその時期になったんです。その前に3ヶ月ほど清平にいて。観光ビザでとりあえず日本に入って、諸々の手続きをして、宮崎台の家庭修に出て、その後年明け早々に家庭出発という。今ではとてもできない過密進行でした。
編:新居の場所は決まっていたんですか?
夫:それも決まっていなくて。僕がずっとアパートで一人暮らしだったので。とりあえず彼女を韓国から連れてきて、霊の親の家にいてもらって。家庭修を終えてから僕のアパートに来て家庭出発しました。
アパートは、長野の駅から10分ぐらいの場所でした。当時は交通手段もないし、駅から近い方がいいよねということで。
編:長野で暮らし始めて、日本人に対する印象が変わりましたか?
妻:変わりました、変わりました! 笑
親切だったんですけど、みんな忙しいですね…。
霊のお爺さんとかお婆さんは「日本ではきっと霊の親がいろいろと助けてくれるよ」って言ってたんですけど、住んでる場所もちょっと遠くて礼拝でしか会えなくて。一人で全部やっていました。主人も仕事で遅く帰ってくる事が多くて。「わたしが独りでいるのになんで遅く帰るの」と喧嘩を始めちゃったり。
わたしは独りでいるのは嫌で、青年部に行って姉妹達と伝道にいきました。
仕事もしようと思って探していたら、食口でコンビニを経営している方がいて、そこのバイトを入れさせてもらいました。それが日本の文化とか、いろいろな勉強になりました。
編:よくわかります。うちは日韓家庭なのですが、全く同じケースで、妻がすごく孤独になってしまって…。所属教会に韓国家庭もなくて韓国人のお姉さんが一人もいない環境でした。わたし自身は別の教会で公職についていまして、朝5時の敬拝から深夜の祈祷会まであるので、家には寝に帰るだけという。
夫:まさにそんな感じでした。僕は仕事でしたけど。土日は教会で青年の修練会に出ることになったりね。
妻:そう、土日もほとんど家にいなくて、それも喧嘩になっちゃって。笑
夫:すっと、10年以上一人暮らしをしていたじゃないですか、ホームもなかったので。それで急に人が一人増えて。人と一緒に生活するのはこんなに大変なんだなと思いました。笑
妻:今は反対ですから。早く帰ってきても…。笑
夫:子供が寝ないから、早く帰って来なくていいと言われちゃいます。笑
編:そういう状況は時間と共に自然に解決していったのですか? それとも相談して改善していったのでしょうか?
夫:はっきり覚えていないんですが、まあ早く帰る日も作ったりはしたと思うのですけど、そうしているうちに子供もできて…。
妻:はい、その後は優しくなりました。笑
夫:子供、可愛いですしね。お風呂に入れたりとかね。
編:お子さんの誕生でお二人の生活も大きく変わっていったのですね。
今小4の長女の花奈(はな)ちゃんを授かったときはどんな気持ちでしたか?
夫:どんなだったですかねえ。僕は出産に立ち会ったんですけれど、その日もやっぱり小学生の修練会にスタッフとして参加していたんですよ。出産予定日はもっと先だったんですけど…。
修練会の最終日に一人だけ先に帰ってきて、病院に行って。初めてだからなかなか生まれなくて。あの…壮絶ですね出産の現場というのは。すごいですよね、あんなにまでして子供を産むんですよねえ。すごいなあと思いました。
編:言葉の問題もあったと思いますが、奥様は病院で出産の際はどうでしたか?
妻:出産は、病院の環境がスリランカよりも随分と良かったので、楽だったんだと思います。病院に行く時とか買い物の時はいつも夫が一緒で言葉の問題もありませんでした。
【スリランカの文化を家庭で紹介するか…】
編:お家での皆さんの生活の様子について教えてください。
妻:御言やお祈りでは、長女のハナは寝る前に一人で訓読してお祈りをしてから寝ています。
夫:この春は、仕事ができなくて家にいる時間が長かったので、お母様の自叙伝で一緒に訓読をしました。長女くらいの歳(小4)になっていると一緒に楽しそうに聞いていましたので、改めて一緒にするといいんだなと思いました。
編:家族で行っているスリランカの風習はありますか?
夫:カナダからおじさんがクリスマスカードを送ってくれるので、それには必ずお返事を出しますね。それ以外は…。10月ぐらいに「ディーパバリ」というイベントをやっていたけど。
妻:「ディーパバリ」はヒンズー教のイベントで、サタンが死んだ日としてお祝いするんです。オイルランプをつけて。でも、前にいたアパートではやったけど、この家に引っ越してからはやってないですね。
編:あまりスリランカの風習を家庭で紹介したりはしないですか?
妻:うーん、私たちの教会のことをしたいので、今はスリランカのことはあまりしていません。
夫:一方で、今年に入って、海外にいってらっしゃる先輩家庭の方何人かに、「なんでスリランカのことを子供に教えないの?」と、言われまして。教えていかなきゃなと思っています。
編:教会で、スリランカのことを何か披露してくださいと言われたりしましたか?
妻:教会ではないのですが、多文化交流のイベントがあって、食口の家で行っていました。食口ではない方も呼んで、毎月いろんな国の文化を紹介して。そのイベントのスタッフになってわたしもスリランカを紹介しました。少し前までは「カレーを作って」と言われて、スリランカのカレーを作ったりもしていました。
編:スリランカのお料理はけっこう家庭の食卓に出てくるんですね。カレー以外には何がありますか?
妻:ご飯とカレーがメインなので。
夫:基本的には、全部なにかのカレーなんです。笑
編:お二人の話を聞いていると、比較的奥様がご主人の生活に合わせておられる様に思うのですが、スリランカでは女性が男性に合わせるのが普通ですか?
妻:普通ですね。アジアではそれが普通ではないですか? わたし達の教会では二人がお互いに敬拝する事がありますが、男の人が女の人に敬拝なんかしちゃいけない、そういう文化だと思います。
夫:スリランカはインドのお隣じゃないですか。インドは中国の比ではないくらいに女性が強い印象があったので、スリランカもそうなのかなと思っていたのですが、違っていました。
編:インドには厳格なカースト制度がありますね。スリランカではどうですか? また男女の身分差は?
妻:カーストはあります。インドほど強くはないですけれど。結婚する時は同じカースト同士でします。もし、カーストを超えて結婚してもうまく行かなくて離婚してしまうことが多いと思います。
夫:男女の身分差もあると思いますが、わたしの2回スリランカに行った感触ではそんなに強いものではないと感じました。ただし、妻のカーストも下の方ではないので。カーストが低いとまた違うのかもしれません。
【「食」・日本のカレーの世界での評価は…】
編:日本の食べ物では何が好きですか?
夫:日本のカレーは好きではないみたいですね。笑
妻:わたしだけではなくて、中国人のママも韓国人のママも日本のカレー好きじゃないみたいですよ。
夫:特殊な食べ物なんですね、あれって。笑
妻:家庭で、韓国料理は作ります。キムチ鍋とか、キンパプ(海苔巻き)、ビビンパプなど。毎日は日本の料理を作っています。わたしだけカレーを作って食べている。笑
スリランカの料理の材料は、東京にお店があってオンラインで買えます。母がスリランカから材料を送ってくれたりもします。
「スリランカのカレーを食べたい!」とお友達のお母さんが言って、自宅に招いて御馳走することがあります。スリランカのレストランは近くにないので、食べたがる方が多いです。
日本のお味噌汁は好きです。わたしのお母さんも好きです。スリランカから日本に来た時、美味しいと言って食べてくれます。
編:お母さんは何回か日本に来られているんですね。スリランカから日本はどれくらいかかりますか?
夫:飛行機で6時間から10時間。ヨーロッパと変わらないですね。
妻:大変だけど、来たら日本を楽しんでくれています。ディズニーランドにも行ったりして。笑
夫:スリランカで聞かれるそうです。「ディズニーランドには行ったのか」と。笑
編:そうですか! それは親孝行になってますね!
【日本とスリランカの「ダブル」という価値、国際家庭の交流イベント】
編:数少ないスリランカの方がいる家庭ですが、お子さん達はどんなふうに受け止めているのでしょうか?
夫:そうですねえ。長女は、何歳くらいだったか「お母さんイヤだ」と言ったことがありましたね。いくつの時だっけ?
妻:幼稚園の年長さんの時かな。
夫:見てすぐ日本の人と違うと分かるから、早くにそうなったのかもしれないですよね。今はもうそんなに気にしていなさそうです。小さい時に乗り越えてしまえたので、超えやすかったのかもしれないですね。
妻:今は長女に「お母さん参観日に学校に行ってもいい?」と聞くと、「いいよ」と言ってくれます。みんなにわたしのことを見せて自慢したいみたいで「お母さん来て、来て!」と言います。わたしはどちらかというと行きたくないんだけど、目立つから。笑
夫:娘は今スケートにハマっているんですが、そのスケートクラブにも中国人のお母さんが一人いますし、身近にはなってきていますよね。でも、ちょっと田舎だからかなあ、この子の学校には一学年に一人ぐらいしかいないですね、外国人の父母というのは。
編:祝福結婚のこともそうなのですが、お父さんとお母さんが国際結婚をした価値とか、その子供であることの価値をどのように説明していますか?
夫:教会でよく説明してくれていますね。教会の礼拝でもそういうお話がありますし、コロナなのでと作ってくれたビデオにもそういう内容がありました。
妻:親子での修練会があって、「将来の相手のために今から準備をするんだ」とか、「相手のために自分の得意なことを伸ばす」とか。その講義を聞いて「早く祝福を受けたい」なんて言っていました。
編:娘さんは見る人が見ればダブル(親が異なる人種)だと分かりますよね。そういう自分に関しては悩んだりすることはなかったですか?
妻:娘は国際家庭の方たちが参加する教会のIFAのキャンプに参加してきました。そこで、いろんな国のダブルの子たちが来ていて…。
夫:ロシアの人もいたね。今年(2020年)はコロナで開催できなくなりしましたが、去年(2019年)は新宿の下落合の教会で、元旦に国際家庭の礼拝があり、そこに参加しました。
妻:そこで友達ができて。娘も自分一人だけではないと分かったし、けっこう仲の良い友達もできているみたいです
夫:そういう遠方の友達とはメッセンジャーのアプリとかでつながっていたりね。まあ、二人とも親の携帯を使ってるんでしょうけど。笑
妻:毎日会うより、長く会えない期間があることで、楽しみが増しているみたいです。
編:なるほど! 全国規模でやっているイベントに参加したり、家族でいろいろと努力をしているんですね。ありがとうございました。
編集後記
今回のお話では、国際家庭の子女同士の交流が非常に重要だということがポイントでした。時節柄、なかなか交流が難しいということもあるかも知れませんが、是非、2つの祖国を持って生まれてきた特別なギフトを持つ子供たちの交流を促進して、そのギフト・宝物を何倍もの価値に育てられるよう応援していきたいですね。
神様のもとの一つの家族、五色人種が一つの家族として暮らす天一国を具体的にしてくれるのがまさに彼・彼女たちです。