ファミリースナップ
Family Snap二人は子供を通して距離を縮めてゆく
山城家庭今回は、埼玉県にお住いの30代前半のカップル、山城ショウジさん、アユミさん夫妻(仮名)。小学校入学前の3人の元気な男児と一緒に、パワフルな子育て真っ最中の5人家族です。
子供を「私物化」しない
編:元気なお子さんですが、男児3人の育児は大変じゃないですか?
妻:子供が好きで、子供関係のお仕事に就こうと思っていたぐらいなので、大変ですが楽しくやっています。一人目は初めてなので誰でも苦労があると思いますが、2人、3人と……3人目などは何をやってもただ可愛い!(笑)
夫:長男は工作が好き、自然も好き。ものを作る仕事に向いているかも。次男はいいボール投げるんですよ。運動神経がいいみたいです。三男は歌が好き。いつも歌っていると妻から聞いています。
妻:次男は体が小さいので、野球とかサッカーより、ボルダリングなんかどうかなと思って。みんな性格がシャイなので、この長所と性格をどうやって活かして開花させてあげられるかなと考えてます。次男は頑固だから思春期に絶対私とぶつかるなあなんて思ったり。
編:子育てで注意していることはありますか?
妻:子供を私物化しないことは意識しています。
編:私物化しない、ですか?
妻:つい感情的になって怒鳴ってしまうこともあるのですが、子供はみんな天から預かった命なので、自分勝手に育てるのではなく、責任ある社会の一員として成長してくれるように意識しています。
編:天からの授かりものとはよく言いますが、天からの預かりものとは……すごく高い基準の子育てですね。
妻:はい。つい忘れてしまいがちですが、新しい子を授かるたびに思い出しています。
「生理的に無理」って言われたらアウトだよね……
夫婦仲良く子供の将来を考えている二人ですが、結婚当初は大変なこともあったそうです。実は、山城ご夫妻は信頼する自分の両親に相手選びを委ねてめぐり逢ったカップルなのです。すごく短い期間での許婚(いいなずけ)関係という感じでしょうか。
編:お二人は互いのご両親を介して知り合ったわけですが、すぐに意気投合したんですか?
夫:自分としては、最初から彼女の印象が良かったので、特に葛藤みたいなものはなかったんですが・・・。
妻:私は、紹介されて「はい」って答えたのですが、紹介を受けた当初から葛藤の連続でした。
編:何に葛藤してたんですか?
妻:よく女友達と「異性から生理的に受け入れらえないって言われたらアウトだよね」、なんて話をしていましたが、それに近い感じでした。男性である彼の気持ちがよくわからなかったり、彼とは性格も真逆で自分は大雑把・テキトーなんですが、彼はすごく真面目でマメで、毎日メールをしてきてくれるんですけど。これに全部返事するの? って。(笑)
旦那さんとの関係で葛藤していた頃、妻のアユミさんは若い人が集まる施設で寮母さんのような仕事をしていたそうです。将来理想の家庭を作るための訓練と思って、ウマの合わない人や苦手な人とも積極的にコミュニケーションをとって自分を成長させて来たつもりだったのですが、それは何だったの!?っていう状態になってしまっていた、と、妻アユミさん。
夫ショウジさんはアユミさんのそんな気持ちを分かっていましたが、彼女の方が苦しい思いをしていると、悩みつつも辛抱強く彼女を見守っていました。
二人は、そんな状態になっても、関係を解消しようという決断はしませんでした。どちらの両親も大変夫婦仲が良く、自分たちも必ずあのようになれるはずだ……父母が見つけてくれた相手を信じる思いが常にあったようです。
「わたし何しているんだろう」義母の涙に、はっと我に帰った
編:そんな状態を克服したので、今二人はこうして一緒にいるのだと思いますが、何があったのですか?
妻:彼が私の様子を見かねて、彼のお義母さんに相談してくれたんです。そして私がお義母さんと話した時、お義母さんが涙をこぼしながら小さな声で「ごめんね」と、言ってくれたんです。その涙を見た時に「わたし何しているんだろう」と思って。それから少しずつ変わっていきました。
夫:二人で努力を続けていましたが、自分よりも彼女が何倍も苦しかったと思います。そんな中、最初の子供が生まれた時、二人の関係が変わりました。子育ては一人ではできないので、二人が自然に一つになって、壁がなくなっていきました。神様が子供を通して二人の距離を縮めてくださったように感じます。一人目の子供には特別な思いがあります。
子供が増えると経済的な心配とかもありますが、子供同士が仲良くしている様を見ると今までにない気持ちが芽生えてきました。神様もこんな風に人々が慈しみあう世界を作りたかったんだ。そんな思いが湧いてきたりするんです。
山城家の父母と子供の関係、すごいですね。
男女間で生理的に無理という状態になれば、その関係は簡単に終わりを告げてしまうのではないでしょうか。山城夫妻がそこを越えられたのは、その関係が二人の恋愛感情の盛り上がりで始まった関係ではなかったからなのだと思います。
好きという感情が一緒にいる理由であってもいいと思いますが、人間の感情ほど不安定なものはありません。男女の永遠の愛があるとしたら、その根っ子になるものは恋愛感情とは別のものなのでしょう。