コラム

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肯定的な言葉が自分をつくる

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

 人生の幸不幸を決定する要素に「心の受け止め方」があります。コミュニケーションの上手な人は、作法だけでなく心の受け止め方が上手です。

 人生は、「事実」+「受け止め方」で「現実」が決定します。事実は誰が見ても一つです。しかし、事実をどのように受け止めるかによって大きく二つに分かれます。肯定的に受け止めるか、否定的に受け止めるか、です。
 
 例えば、病気になったとしましょう。病気は当然、良いことではありません。しかし、その時も二つの受け止め方があります。「病気のせいで」ととらえることもあれば、「病気のおかげで」という場合もあります。どんな状況にあっても、プラスの面を注目するとらえかたを「陽転発想」といいます。
 陽転発想は、今、直面しているピンチをチャンスと受け止め、そのマイナスのできごとから学んでプラスの方向に大きく人生を転換していこうという発想です。コミュニケーションをはじめ、人生すべてを好転させる秘訣が「陽転発想」です。
 不安やピンチに背を向けることなく、正面から向き合えば、それはもう飛び越えるべきハードルであり、自分を成長させてくれる課題となります。「これは、生き方を変えるチャンスだ」とか「自分を成長させる試練だ」と考えるのです。
 
 しかし、口で言うのは簡単ですが、その不幸に直面している人にとっては、それどころではないのが事実です。ですから、日頃からそのような心を準備しておく必要があります。
 『快癒力』(サンマーク出版,1996)という本がありました。主に難病といわれる慢性リューマチを治すことで有名になった医師・篠原佳年氏が書かれたものです。その本には、病気とその人の心の持ち方の関係が興味深く書かれていて、次のような内用が記されています。
 
「病気というのは、その人の体の内部から発信された、人生に対するメッセージです。『あなたの生き方は、病気になるほどバランスが取れていないのですよ』『だから、病気を楽しめとまでは言いませんが、せっかく、病気という形でメッセージを送ってもらっているのだから、じっくり、それを受け止めてみたらどうですか』。病気があなたに、過去の記憶の中にある『わだかまり』をはっきり見せ、『だから、あなたは病気になったのですよ』と教えてくれているのに、そのわだかまりから逃げてばかりいれば、いつまでたっても病気は治りません」
 
 このように、受け止め方の大切さを強調しています。
 
 しかし、「陽転発想」しようとしてもなかなかできない場合もあります。そのような時は、形から入る方法もあります。発想の自己暗示用語を用いるのです。例えば、次の言葉を夜寝る時に、ふとんの中で5回以上唱えてください。「これでよかった。ここから成長。ここから気づく。ありがとうございます」という言葉です。これは、心からそう思っていなくても良いのです。形から入れば心は変わります。夜寝る前は、潜在意識に言葉が届きやすい状態なので特におすすめです。
 そのとき分からなくても、あとで振り返ってみると、「あの時は苦しかったけど、あのできごとがあったから、今の自分があるんだ。あのできごとは、私の成長と幸せのために必要なことだった。あれで良かったんだ」と思える時が必ずきます。大きなマイナスを経験した人ほど、プラスになった時のパワーは大きくなるものです。人生に無駄なことはありません。そして、あなたに受け止められない苦労は決してやってきません。
 
 人が使う言葉は現実化され、使う言葉によって運命は変わっていきます。言葉をプラスに変えたら、人生はプラスになる。言葉はあなたの思考や行動を規定します。あなたの人生は実に言葉によって、すべて決められています。今まで癖になっていた言葉遣いを意図的に変えることで、癖になっていた思考パターン、行動パターンから脱することができるのです。
 ○○してほしい、○○をかなえてほしいというイメージや言葉は、欲しいと思いながら手に入らない「欲しがっている状態の自分」を現実化してしまい、「手に入った」という状態を実現してはくれません。
 これだけしかないという発想から、こんなにもあるという発想に変えていきます。今の自分の持っている良いところに気づき、自分を肯定し、好きになるのが基本です。自分をプラスで表現できないことには、幸せはやってきません。「陽転発想」して、肯定的に、自分自身をプランニングできるかどうかが重要です。

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