コラム
colum会話を円滑にする5つの秘訣
書店のビジネス書のコーナーを見ると、「会話」や「伝え方」を扱った書籍が多くあります。会話上手になるかは、たくさんの人の関心事であることが分かります。「会話力」に優れている人とのコミュニケーションは心地よいものです。今回は、円滑な会話をするための秘訣をいくつか紹介します。
会話の秘訣の第一は、「話し上手」より「聞き上手・話させ上手」になることです。
話し上手とは、一般的に「話し方が上手な人」と思われています。流ちょうに話をしたり、表現豊かに話したりする人は伝え上手かもしれません。しかし、それだけで必ずしも会話力が優れているとは言えません。心のキャッチボールではなく、一方通行のコミュニケーションになる人もいるからです。
多くを語る人は、自分の考えや情報を上手に語るかもしれませんが、相手がその内容を聞きたいとは限りません。会話で重要なのは、お互いが喜んで、心地よくコミュニケーションをとれることです。「話し上手は聞き上手」と言われるように、実は「聞くこと」が基本です。聞いてあげた分だけ、的を射た話ができます。
また、話し上手は「話させ上手」と言うこともできます。一方通行に聞くだけ、話すだけではなく、双方向で円滑なコミュニケーションをとることが大切です。円滑さは心地よさをもたらすので、もっと話したい、もう一度会いたいという関係をつくることができます。
第二は、「Yes・But法」という話の切り替え方があります。
人それぞれ、ものの見方、考え方は違いますが、その意見をぶつけあったら気分のよい会話にはなりません。無理に自分の意見を通そうとすると、相手も感情的になり、挙句の果てに水掛け論になってしまうことがあります。反対意見を言うにしても、相手の話を受け止め、上手に切り替える秘訣が「Yes・But法」です。
<Yes> <But>
「確かに、ごもっともです」 + 「ですが、この場合は~」
「そういう考えもありますね」 + 「しかし、私の意見は~」
「あなたの言うことも分かります」+ 「でも、こうも言えます」
「それも一理ありますね」 + 「それでは、こういう方法はどうでしょうか」
このように、まず受け止めてから、こちらの意見を言います。受け止めずに「それは違う!」と否定したり、相手の話を無視して自分の話を始めたりすると、気分が悪くなるものです。どんなに良い意見でも、受け入れられなくなってしまいます。まずは、相手の意見や発言を受け止めることが重要です。違った考えも受け入れる心の器があれば、会話は円滑になります。
第三に、共通点に注目するより、相違点に注目することです。
会話の中で、「私もそう思います」という共通点があると意気投合したり、共感しやすいものです。しかし、会話の本当のおもしろさは、相手と自分の考え・意見が異なることにあります。
もし、自分と違う考えや意見を聞いたら、「どうしてそう考えるのですか?」「そう思うようになったのはいつからですか?」と、自分との違いをさらに突っ込んで聞いてみるのです。「それでどうなったの?」「それから?」と促し上手な人、質問上手な人は話を深め、おもしろくできます。そこには自分で想像もしていなかった発想や着眼点があるかもしれません。だから、会話をしていて、互いの違いを感じても、葛藤するのではなく、そこに注目して話を深めていくなら、きっと充実した会話になることでしょう。
第四には、喜んでやってみたくなる「メリット強調法」というものがあります。
相手に何をお願いするにしても、指示や指摘をするにしても、言い方次第で受け止め方が異なります。より効果的な表現に、「メリット」を強調する言い方があります。何事も、デメリットを強調してやめさせようとしても、なかなかやめられないものです。
例えば、「たばこは体に悪いからやめましょう」と言われるよりも、「たばこを吸わないことでこのようなメリットがあります」と言われたほうが心は動きます。ポイントは、相手の立場に立って「メリット」を強調することです。そのような話し方を心がけている人は、相手のメリットを意識した生活になり、「相手のために」という愛を動機とした言葉の使い方になることでしょう。
第五として、相手に親近感を持たせる「失敗談」です。
会話でも、セミナー、講演会でも、相手がまちがいなく聞き入る話題が「失敗談」です。なぜか、人は他人の失敗を聞きたがり、おもしろがります。失敗したことは隠したくなるものですが、逆に開けっぴろげに紹介すると、相手は親近感を覚えます。ピエロも、笑われているようで、笑わせている人気者です。人から笑われないように努力するより、時には積極的に「失敗談」を披露することは、会話も関係性も円滑にする有効な手段です。
まずは身近な人に、今まで紹介した五つのポイントのうちのどれかを選んで実践してはいかがでしょうか?