コラム

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信頼をむすぶ褒めことば

コラム
阿部美樹

人の短所は見ようとしなくても見えてしまうもの。一方で長所は、関心を持って観察し続けなければ見えて来ないものです。長所を“褒める”というのは思った以上に難しいもので、褒めたい相手に関心を持ち続ける必要があるのです。

人間関係を深めるためには「信頼関係」が不可欠です。それを築くには「褒める」ことが効果的です。

「褒められたい」という気持ちは万民が共通して持っているのではないでしょうか? 褒められることは、自分の存在が重要なものだと認められることです。自分の能力や努力が評価されるので、自尊心が満たされ、やる気がでます。だから、褒めてくれた人に対して強い好意や信頼が生まれます。

ほめることを意識すると人を見る目が変わります。しかし、いざ、ほめる点を見つけようと思ってもなかなか難しいものです。逆に人の欠点は見ようとしなくても見えてしまいます。他人の長所は、その気にならなければ見えません。それだけしっかりした観察眼が必要です。

人を判断する方法や見つめ方には、大きく分けて二つあります。「できないこと」を数える「減点主義」と、「できること」を数える「加点主義」です。これは評価が正反対になります。

同じ点数でも、テスト用紙に×だけがついているより、○だけがついているほうが「よくできました」と褒められているようで気持ちがいいものです。人を褒めようと思ったときも、「加点主義」が適しています。そして、それをさらにもう一歩進めて、欠点を長所として見る「逆転主義」という考え方もあります。欠点も、観点を変えると長所になることはたくさんあります。

一見して「褒めどころがない人」をいかに褒めるのか。ここで重要なのは、「視点を変える」ことです。自分なりの解釈を最大限に活用し、人の見方を変えてみましょう。実際、人の短所と長所は表裏一体になっていることが多いものです。一般的にマイナス面と評価されている部分も、肯定的にとらえることは不可能ではありません。

例えば、「仕事が遅い」という欠点も、見方を変えれば「丁寧な仕事をする」となります。「自己主張が強い」人も、見方を変えれば「自分の考えをきちんと表明できる」人かもしれません。「周囲との協調性がない」人も、実は「自分をしっかり持っている」という個性かもしれません。

欠点と思われるものも、見方を変えれば「長所」や「個性」として見ることができ、その人の人間性を高めるポイントになったりもします。しかし、逆に「悪く、悪く見る」という人もいます。「明るい人」も見方によっては「軽い人」になったり、「ユーモアのある人」も「不真面目な人」、「まじめな人」も「堅物」となってしまいます。何よりも、「視点を変える」ことであり、「幸せ色の眼鏡をかける」ことが大切です。

ところで、私たちはどれだけ「褒め言葉」を持っているでしょうか? 褒め言葉の語彙をたくさん持てば、その人に合った褒め言葉が、その時々に合わせてさまざまに出せるはずです。そこで、あらかじめ思いつく限りの褒め言葉をノートに書きだすなど、「褒め言葉リスト」のようなものを作ってみると、自分の褒める力の度合いが見えてきます。褒め言葉を増やし、意識して毎日、口にすると習慣になります。毎日、誰かを褒めることを日課にすれば、生活の中に定着し、人間関係も良くなっていくことでしょう。

日本人は、謙譲を美徳として目立つことを嫌うせいか、褒められることを嫌がったり、敬遠したりしがちです。しかし、褒められたら素直に受け止め、褒められたことに感謝しましょう。褒められ上手になれば、褒められることの心地よさをおぼえ、相手に対して好意が自然に湧いてきたり、親近感を感じられるようになったりします。そして、自分自身を肯定的に受け入れられるようになり、人生自体も肯定的になっていくことでしょう。