コラム
colum肯定的な言葉が人生をつくる
言葉が人生に与える影響については良く知られるところです。言葉が変われば「意識」が変わり、意識が変われば「心」を変わり、心が変われば「人生」が変わって行きます。言葉の使い方を工夫することで、なりたい自分、理想の人生が近づいて来るのかも知れません。
私たちは日頃、使う言葉によってコミュニケーションがうまくいったり、うまくいかなかったりします。言葉は、相手に与える印象を決定するだけでなく、自分の人生にも大きく影響します。
では、私たちは日頃、どのような言葉を使っているのでしょうか? 「口癖は心の鏡である」という言葉があるように、言葉は心の反映です。「困った! 困った!」という口癖がある人がいたとすれば、その人の人生は、ずっと困ったことの連続になるでしょう。それは、困ったと言いながら、困るような現実を呼び込む人生を自分自身でつくっているからです。
言葉を変えることで、「意識」を変えることができます。意識を変えることで、「心」を変えることができます。心が変われば「人生」が変わっていきます。そのため、どのような自分になりたいのか、どのような人生にしたいのか、どのような人間関係をつくりたいのかを明確にして言葉を選択していきましょう。
ここで興味深い資料を紹介します。
初めに、アメリカで驚異的な効果を上げた「禁煙プログラム」についてです。禁煙しようとしている人に、「たばこは病気になる」「ガンの原因になる」と言って「我慢しなさい」と強調しても効果はあまりありません。そこで逆に、たばこなしで生きられることがいかに素晴らしいかという禁煙のメリットを伝え、イメージできるようにしたところ、驚くほど効果があったといいます。
また、公衆トイレの表示も時代とともに変化しています。以前は、「汚さないでください」とか「きれいに使いましょう」という言葉が多かったのですが、最近は「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」とお礼が書かれているものが増えました。使用する立場からすると、命令されるより、肯定的にお礼までされると汚せないという思いが出てきたり、きれいに使おうという意欲が出てきます。このように肯定的な表現のほうが人の気持ちを動かすということです。
アメリカのハーバード大学で、「肯定心理学」という授業が学生たちの人気を集めているといいます。その科目を指導する担当教授によれば、1960年代から最近まで、大部分の心理学者たちは病理学的モデルを通して心理学を研究し、発展させてきたといいます。病理学的モデルとは、疾病を研究する時、病気自体に集中し、研究する方法です。しかし、統計を見ると、病気に対する集中は患者をより憂鬱(ゆううつ)にし、治療効果がより低くなったというのです。
そんな中、1998年、アメリカ・ペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授によって肯定心理学が発表され、2002年から大学の授業でも紹介されるようになりました。肯定心理学では、疾病それ自体に集中するのではなく、より根本的な内容である、健康な行動、健康な習慣に集中します。その結果、疾病治療の効果があがったといいます。
私たちも日々の生活でつい使ってしまいがちな「否定的な言葉」を「肯定的表現」に変る工夫をしてみましょう。そうすれば、自分や相手の感情によい影響を与えていくでしょう。例えば、「すみません」という言葉は優しく丁寧な言葉ですが、「ありがとう」と感謝を表現したほうが相手の心には嬉しく伝わるものです。
同じような意味であっても、否定的な表現と肯定的な表現では、与える影響が大きく違います。肯定的な視点や理解、肯定的な言葉は人を動かします。ぜひ、感動した言葉、心に残った言葉を意識して口癖にしてみましょう。