コラム

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愛の表現をしよう

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

 愛情深く育てているつもりでも、「私は親から愛されなかった!」と感じている子供が少なくないようです。親子間の愛情伝達においてこのような違いが生まれるのは、親の愛が子供にきちんと届いていないことが原因なのです。

 TOYOTAがYouTubeの公式チャンネルで公開している『ウェルキャブスペシャルムービー「親子に同じ質問をしてみた」篇(ポルテ)』という映像があります。何組かの親子に、「どのくらい連絡をとりあっていますか?」「どのくらい思い出しますか?」など質問をする、といった内容です。同じ質問をしているのですが、親と子で回答が違います。
 例えば「どのくらい思い出しますか?」という質問。ある親は「毎日」と答えますが、子は「週2回くらい」と言います。どの親子も、親は子をいつも心配し、大切に思っている気持ちが現れていますが、子の回答はそこまででもありません。そして、映像の最後で親の回答VTRを子供が見ます。ここで、親の思いを知って涙する子供の姿が映し出されます。
 
 親から子供への愛情は、伝わりにくいのかもしれません。また、親自体、子供に何かしてもらうために愛していることもほとんどないでしょう。しかし、親が子供のことをとても愛していたとしても、子供に聞いてみると「私は親から愛されなかった!」と言うことは少なくないように感じます。親が愛していたことも事実ですが、子供が愛されなかったと感じたことも事実です。この場合の問題は、親の愛が子供にきちんと届いていないことです。
 思いがあることと、相手に伝わっていることは違います。思いは表現することで相手に伝わるのです。愛は心の中にしまっておくだけでなく、積極的に表現することで実ります。
 
 では、相手に思いを伝える愛情表現の手段は何でしょうか? 大きく分けると「言葉」「態度」「文章」の三つです。「話し方・語り方」などの豊かな言葉の表現力、「表情や行動」など態度の表現力、「手紙や書面」などの文章力は人間関係の豊かさを決定づけます。
 まずは、「言葉の表現力」です。毎日の生活で、思いを言葉にしているでしょうか? 愛情表現の第一歩が「挨拶」です。当然のことに思うかもしれませんが、案外、ないがしろにする場合もあります。「ありがとう」「お疲れさま」「頑張ったね」など、日常のさまざまな場面で言葉に表してみましょう。言葉で表現することで思いも深まっていくものです。分かっているはずだ・分かってくれるだろうと思い込む、「暗黙の了解」は、大きな勘違いを生む可能性があるので、まずは言葉で伝える努力をしてみましょう。
 
 次に、「態度の表現力」です。言葉があっても行動が伴わなければ、その言葉は色あせて力を失ってしまいます。優しい言葉、思いやりの言葉とともに、それを行動で表すのです。態度は時に、言葉以上に影響力があります。「笑顔」「手伝い」「プレゼント」「抱擁」など体で表現してみましょう。もちろん、行動や態度は人によって違うので、自分の個性を生かしながら行うことが大切です。
 
 三つめが「文章力」です。手紙など、文章で表されたものは違った効果と影響力があります。今までもらった手紙やメールに感動して、忘れられない思い出になったことはないでしょうか? その人を前にしたらなかなか言えない内容も、案外、文章だと表現できるものです。また書く側も、書いていると心が整理されたり、思いが深まったりします。ぜひ、日頃、言葉で言えないようなことを文章で表現してみましょう。

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