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男と女の「違い」を「同じ」にしようとすると葛藤が生まれる

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

 男女の違いについては、多くの書籍が出ていたり、テレビや雑誌で特集が組まれるほど関心が高く、そして、理解しがたいものです。要するに男女は根本的に違うのです。

 家庭生活で説明するならば、女性は何でも話せる関係になりたいと思って交流しますが、男性は何も話さなくても分かりあえる間柄になりたいと思う傾向があります。「しゃべりたい妻」と「黙りたい夫」が同居するので、すれ違う可能性が大きいのです。
 男女が話をする動機も違います。男性は「必要があるから話す」というように実用性から口を開くことが多くあります。しかし、女性は「話したいから」「聞いてもらいたいから」「共感してもらいたいから」というように、親密性、信頼性を深めようと交流することがあります。だから、女性から男性を見ると、結論や要点だけの話が多く、味気ないと感じ、男性が女性を見ると理論性もなく話し続けるので、回りくどいと感じます。
 
 夫婦の会話で、夫が妻に理論性や簡潔な話を求めると、妻はさらに感情的になり、話がもっと支離滅裂になって長くなったりします。買い物でも、女性は必要がなくてもつい買ってしまうことがあり、男性は必要なものであれば借金をしてでも買おうとします。当然、個人差はあるので一概には言えませんが、男女は驚くほど違うのです。
 この「違い」ですが、それが問題なのではなく、違いを受け入れることが大切です。夫と妻がお互いに価値観が違うといって葛藤している話は多く聞きますが、これは問題ではありません。「違い」を同じにしようとするから葛藤するのであって、違いを認めてみましょう。「包容力」を持って受け入れてみるならば、人生は楽になります。葛藤があるということは、相手を通して成長させてもらうことであり、相手は私の愛を育んでくれる恩人だととらえてみたらどうでしょうか?
 
 自分の個性を自分のために使おうとすると価値が見いだせません。お互いのためにその個性を使うことが個性を活用するポイントです。音楽も高音と低音の調和、ハーモニーが人の心を感動させます。自然も山と谷、森と湖などのように、まったく反対、極と極の様相が調和しているところは感動的な美を見せてくれます。違うと言って葛藤したり、要求したりせず、受け入れてみましょう。
 夫婦の発想、愛情表現の仕方など、あらゆる面で違っても、大きな心で、お互いの違いを認めてみましょう。山が好きな夫と海が好きな妻では、お互い行きたい場所が異なります。そんなとき、夫の好きな山で楽しんでみましょう。妻の好きな海で楽しんでみましょう。新しい発見や今までとは違った喜びを味わえるかもしれません。
 
 楽しいこと、好きなことを共有することは、相手を尊重し、気持ちに共感することになります。幸せな人生を味わうためには、自分の喜びだけを求めるのではなく、相手の喜びに積極的に共感する姿勢が大切です。幸せな生き方、愛のある生き方とは、ひと言でいえば「ために生きる生き方」です。ために生き、ために死ぬ「愛の人生」ととらえたら幸せになることは間違いないでしょう。

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