コラム

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自分の短所、本当は長所?

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

「あなたの長所は何でしょうか?」という質問に対して、皆さんはすぐに答えられるでしょうか。案外、言葉が浮かんでこないものです。反対に、「短所は何ですか?」と尋ねられると、次々出てくる場合があります。自分を高めるために自分の足らないところを意識しているから、とも言えます。しかし、自分の長所に目を向けて、その部分を伸ばしていくことが重要です。

 短所を見つめるか、長所を見つめるかで「自己イメージ」が変わります。実は、自分をどのように見つめているかという「自己イメージ」がコミュニケーションをはじめ、人生すべてに大きな影響を与えています。
 例えば、Aさんという人がいたとして、その人はどういう人かといった場合、肯定的に見つめる観点と否定的に見つめる観点があります。その見つめ方でAさんの評価が大きく変わってきます。同じように自分自身に対しても見方によって評価が変化します。長所を見つめる人は自分自身を肯定的に受け止めることになり、自分に誇りを持ち、人間関係など人生すべてを前向きにとらえる特徴があります。
 ところが、肯定的な表現をしようとしても、なかなか出てこないことがあります。その原因の一つが、「否定形の固定観念」に支配されていることです。ひと言でいえば「思い込み」です。人は事実よりも、自分が自身に対して抱くイメージのほうをより強く信じる場合が多いものです。周りの人はあまり気にしていないことでも、本人が気にするあまり、皆がきっと気になっているに違いないと思い込むことが固定観念です。
 例えば、「バラは赤い」という言葉は正しいでしょうか? 事実ではありますが、正確でもありません。赤いバラはたくさんありますが、白いものや黄色いものもあります。だから、正確に言えば「バラは赤いものもある」となります。
 同じように「私はダメな人間だ」と言い切る人がいます。これも事実の場合もありますが、正確ではないはずです。「私はダメな時・ダメな部分もある」となることでしょう。このように、事実でもないことを思い込んでいることに気づき、否定形から肯定形に意識を転換することが大切です。
 逆に、自分自身を「肯定的観点」で見ると、気がつかなかった個性の再発見ができることもあります。「自分は話下手である」と気にしている人がいたとします。しかし、話すことよりも聞くことが多いので、案外「聞き上手」ということがあります。また、「私は積極性がないし、行動力が乏しい」と思っている人は、積極性がない代わりに「地道にコツコツやる」堅実さがあるものです。
 こう見ると長所と短所は背中合わせとも言えるでしょう。なんでもできる、という万能な人はいません。自分の特性を前向きに生かすことを考えたら、自分の個性を伸ばせるのではないでしょうか。