コラム

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自分が思うほどに変えられない相手の性格

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

 人間関係が良くなるためには、「良く変わる」という変化が必要です。誰が変わるのでしょうか? 相手が変わるか、自分が変わるかのどちらかです。もちろん、両方が良く変われればよいのですが、人間関係で難しさを感じたとき、「相手がその欠点を変えてくれたらうまくいくのに……」という思いを持ちやすいものです。自分の心の葛藤は、目の前の人の姿を見て湧いてきた感情だからです。

 家族でも、夫からすれば妻が問題だし、妻からすれば夫が問題です。親からすれば子供が、子供からすれば親が問題だと思ってしまいます。そう感じるということは、ある意味、実際そうなのかもしれませんが、問題な部分をそのまま相手に伝えたからといって関係が改善されることはほぼありません。むしろ、悪化する場合のほうが多いのです。
 相手を変えようという思いで見つめると、関係が難しくなるのはなぜでしょうか? それは動機が要求や批判になっているからです。また、「相手のために」と思って指摘していても、その相手自身が自分を変える必要性を感じていなかったり、ただ悪口を言われたと思うだけの場合もあります。
 
 人間関係が悪い人の特徴は、このように「相手を変えよう」と発想していることが多いのです。同時に、身の回りの環境や境遇に対しても、「職場が悪い」「制度が悪い」など不平不満が多い人生になりがちです。
 では、「相手を変えよう」ではなく、「自分が変わろう」という観点をもったらどうでしょうか? 「私がこうなろう」「私がこうしよう」という気持ちで、自分を変化させるのです。自分を改善することで相手にも影響を与えることができます。
 
 例えば、相手が不満をもっていて、口を開けば文句ばかり言っていたとしましょう。それを見て、「それじゃあダメですよ!」と言うのではなく、その不満の思いに対して心を込めて聞いてあげれば、相手の心は変化していくでしょう。相手が「してほしい」と思えば、私が「してあげる人」になり、相手が「できない」のであれば、私が「模範を示す人」になればいいのです。
 
 相手のために自分が変わることは、相手のために良くないとか、相手に屈しているようで気分が悪いと感じるかもしれません。しかし、相手のために「最善の人に変わる」ことは、愛の人です。その行動の動機が「相手のために(利他的)」という、愛の動機になっているからです。
 人生の教訓的な内容として、次のような名言があります。
 
「心が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる」
「過去と相手は変えることができず、未来と自分は変えることができる」
 
 どんな場合、どんな状況でも、すべての出発点は「私の心」にあるということです。どんな心で接するのか、どんな心で行動するのか、どんな心で生活するのかが大切です。私の人生の主人公は「私」です。私の変化、自分の成長に焦点を当てていくならば、相手も環境も運命も動かすことができるのです。

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