コラム

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共感と同情の違い

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

「苦しみ、悲しみは分かち合えば半分になり、喜び、楽しさは分かち合えば倍になる」という言葉があります。感情を共有することは、誰もが嬉しいものです。

 悲しい時、つらい時、「大変でしたね」「つらかったでしょうね」「苦しかったんですね」と共感されると心が癒されます。嬉しい時、楽しい時に共に喜んでくれる人がいると二重の喜びになります。
 まさに、幸せは二人が一つになることで築かれます。二人が心を一つにする世界です。愛はいくらあっても一人では感じることができません。相手を通して初めて味わうことができるので、分かち合う心が愛を育むのです。
 小さな子供は、夜寝る時、「寝なさい」と何度言われるよりも、「一緒に寝ようね」とお母さんが添い寝して一緒に寝てくれると、安心してぐっすり眠るようになります。いつまでも隣りにいてくれる、見守ってくれているという心地よい安心感を持つことができます。同じように相手に相手の心に共感する姿勢は、肯定的に支持してくれる「心の添い寝」のようなものです。
 例えば、落ち込んでいる人に、「頑張って」と連発しても逆効果の場合があります。頑張れと言われれば言われるほど孤独になる場合があります。その時、効果的な言葉は、「一緒に」という言葉です。「一緒に考えてみよう」「一緒にやってみよう」「一緒に頑張ってみよう」と言われるだけで嬉しくなります。一緒に、という心の姿勢が幸せをつくり出しているのです。
 共感と似ているようで違うのが、「同感」「同情」です。「同感」とは、例えば「先日、夫が入院して大変だったの……」という話題に対して、「分かるわ! 去年、うちもおじいちゃんが入院して大変で、うちの場合はね……」という会話があります。相手に共感しているようで、相手の気持ちが中心ではなく、自分の気持ちを先行して話しています。
 また、「お気の毒に……」「かわいそうに……」といった、相手を「何とかしてあげたい」という同情という感情があります。これはどちらかというと相手を見下す姿勢になりやすいものです。相手は何とかしてあげないといけない人であり、自分は何とかしてあげるという関係なので、上下関係になりやすく、本当の信頼関係は築けません。共感的理解をするためには対等な関係性が大切です。
 「共感」「共感的理解」は相手が感じていることを相手の立場になって、「相手の内側から相手を理解しようとすること」と言えます。自分の考えや意見を挟まず、「相手の感情を正確にくみとり、相手の思いをそのまま受け止めること」です。相手にとっては、ただ共感してもらうことを通して、自分の心を鏡に映し出すように理解し、肯定的に受け止めるきっかけになります。
 このように家庭、職場、友人との間で、共感的理解を実践することができれば、幸せな人間関係になります。ぜひ、家族や身近な人の話を聞いて共感してみてください。