コラム

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話を聴く技術を磨こう!

幸福度がアップする家族のコミュニケーション講座
阿部美樹

誰もが持つ願望として、「聴いてほしい」というものがあります。家庭では子供が「親は全然聴いてくれない」と言い、学校では生徒が「先生は全然聴いてくれない」と言い、職場では部下が「上司は全然聴いてくれない」と言います。多くの人が「聴いてもらえない」「理解してもらえない」という不満や怒りを持っています。そこで、「聴いてあげよう」という姿勢を持てば、人間関係が良くなり、敵もいなくなるのではないでしょうか?

 実際のところ、私たちは日常生活で人の話を聞いているかというと、思いのほか聞いていないものです。「話し上手は聞き上手」と言うように、話す能力や技術よりも、「聴く姿勢」「聴く技術」が大切です。人の話に耳を傾けて熱心に聞くことを「傾聴」といいます。英語では「Active Listening」です。文字通り「積極的、能動的に聴く」という意味です。
 聴くためには、相手に興味を持つことが大切です。相手に興味を持ち、関心を持って初めてその人の話を聞けるようになります。話を聞くことは、相手に注目し、理解しようとする姿勢の表れです。
 マザー・テレサは、「愛の反対は『無関心』である」と語っています。親子関係を見ても、子供にとって親から怒られたり、叱られたりするよりもつらいことがあります。それは、自分に対する親の無関心です。親が無関心だと、子供は孤独になってしまい、無意識のうちに悪いことをしてでも親の関心を引こうとします。親から怒られることを選んでしまうのです。
 だから、「愛の出発点は『関心』から!」なのです。関心を持って家族、友人、知人など、身の回りの人に注目してみると、その人の話を聴きたくなることでしょう。
 しかし、相手の話を聞いていると、つい、忠告や批判をしたり、解釈を入れたくなるものです。まずは、「無条件に聴く」という姿勢が大切です。まずは、相手の置かれている立場を理解し、相手の存在を認め、どんなことにでも肯定的な関心を向けてみましょう。そうすると、話し手は自分自身の問題がはっきり見えるようになります。話しながら、「ああ、自分はこんなことを感じていたんだな」と、自分の気持ちを再確認したり、「なるほど」と新たな気づきを得たりします。さらに話をしていくと「今後、どうしたらいいか」を自然に考えられたりもします。まさに、解決の道を自主的に探るようになるというわけです。
 ただ聴いているだけの行為でも、実は、話し手に大きな力を与えています。口を開くことは、心を開くことに通じます。話しながら心が解放され、前向きな意欲を持つようになります。傾聴は、相手に自らの抱える問題を自分で解決するきっかけを与え、その能力を引き出す効果があるのです。
 「関心を持つこと」「知ること」「理解すること」が愛の出発点です。相手が何を願っているのかを知るなら、的を射た愛の実践、的確な助言ができるものです。傾聴力のある人は、少ない言葉でも人を動かす感化力のある人になることでしょう。関心を持って、家族、友人、知人の話を聞いてみましょう。