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NEWS日本初「質問権行使」から分かる文科省の卑劣な実態
プレスリリース
世界平和統一家庭連合
文部科学省による「報告徴収・質問権」の行使において当法人が回答を拒否したとして、文科省が当法人に「過料」を科すよう求めていた裁判で、最高裁はこのほど、当法人を過料10万円に処することを認めた地裁・高裁の判断を支持し、当法人の抗告を棄却しました。
主要メディアはこれまで、当法人が「文科省からの500項目以上の質問のうち約100項目について回答を拒否した」などと報じてきたため、「質問に答えない方が悪い」「なぜ調査に応じなかったのか」といった感想を持たれた方が多いようです。実態とかけ離れた誤解が広がっている現状に鑑み、文科省による報告徴収・質問権行使の“舞台裏”を紹介することにしました。このたびの最高裁決定を受け、今後はいかなる宗教法人であっても、ひとたび国家の標的にされたら容易に解散命令請求を受けることが判明しましたので、特に民法上の問題を抱える宗教法人にとっては有益ではないかと考えます。
段ボール5000箱分の資料を要求した文科省
文科省は、民法上の不法行為も宗教法人の解散事由としての「法令に違反」に含まれるとの解釈に基づき、当法人に対して7回にわたり質問権を行使しました。しかし、同解釈は法理論上、到底受け入れられないため、当法人としては質問権行使に一切回答しないことも検討しましたが、文科省が主張する「不法行為の組織性、悪質性、継続性」に関連すると思われる質問を中心に回答しつつ、それ以外の質問についても、信者のプライバシーに関する質問等、回答が不適切と思われる質問以外は、できる限り回答に努め、400項目以上の質問に回答するため、限られた人員で休日を返上して対応しました。
当法人が「回答を拒否した」とされる質問項目の中には、回答するためには膨大な時間と労力を要し、物理的に期限内には到底回答できないものがいくつも含まれていました。
具体例として、文科省が第1回「報告徴収」(2022年11月22日~同年12月9日)で報告を求めてきた「収支・財産関係」の1項目を紹介します。
「予算書・収支計算書の収支科目一覧表、収支計算書、収支内訳簿、月別科目別収支集計表、総勘定元帳、仕訳長、現金出納簿、預貯金通帳、国外送受金資料、物品出納簿、給与台帳、寄付受付帳、請求書、納品書など平成18年度から令和4年までの貴法人及び貴法人の内部組織における収入及び支出の金額、内訳、内容を示すもの」
文科省は、上記の各資料について、当法人の本部組織及び全国の約300の教会組織の過去17年分を収集し、報告することを求めてきたのです。文科省はそれを実質2週間で行うことを要求しており、他に数十の報告項目があったことを考えると、文科省の要求は常軌を逸していると言わざるを得ず、実際に報告するのは物理的に不可能でした。
例えば、上記資料のうちの「総勘定元帳」は、当法人の1教会だけでも、添付書類(領収書等)を合わせた1年分の分量は、大きい教会で段ボール箱4個、小さい教会でも2個に相当する分量になります。それが300教会分となると、保存期間内の7年分を収集したとすれば最低でも5000箱を超えます。文科省は2006年以降の17年分を要求したため、実際に提出したとすればその総数は1万箱をはるかに超えたことでしょう。仮に数千箱分の資料を集めたとしても、その精査には何年もかかるのであって、文科省は最初から資料の収集や精査が不可能と分かっていながら、書類提出を要求したのです。それにもかかわらず、文科省は「報告を拒否した」と吹聴しているのですから、当法人に対する“パワハラ”あるいは“イジメ”と言うほかありません。
全ての預貯金口座の情報開示を要求
また、上記資料にある「預貯金通帳」に関連し、文科省は「貴法人の教会本部、各地区、各教区、各教会がそれぞれ所有する預貯金口座につき、銀行名、支店名、種別、口座番号、口座名義、平成27年度から令和3年度までの各年度末の預貯金残高について、その内容を示す資料を添付の上、報告されたい。」と述べ、当法人の全組織の預貯金口座の情報開示を再三にわたって求めてきました(第3回・第5回「報告徴収」)。その理由として、文科省は「貴法人のこれまでの組織運営について正確に把握するためには、貴法人の所有する全ての口座の取引状況を明らかにし、貴法人の信者らによる献金勧誘、物品販売等の行為によって得られた資金の最終的な帰属を確認する必要がある。」と述べていますが、これら預貯金口座に関する情報は、団体の機密として保護されるべきであり、そもそも質問権行使の根拠とされた不法行為と何ら関係ありません。なお、当法人は「物品販売等」の収益事業を一切行っていないにもかかわらず、あえて「物品販売」に言及しているのは、文科省が全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の指導に忠実に従っていることを示しています。
文科省は当法人や当法人の信者らの民法上の不法行為を認めた22件の民事判決を根拠に報告徴収・質問権の行使による調査を行いました。しかしながら、文科省の報告徴収は、具体的な事件や事実を特定するなどして、それと関連性のある書類の提出を求めるのではなく、当法人の予算・決算・財産等に関する全ての情報の提出を要求しており、過剰であり合理性がありません。宗教法人法78条の2第6項は、報告徴収・質問権の行使は「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」と規定していますが、文科省による要求は実質的に犯罪捜査と同等の調査を行おうとしたものだと言わざるを得ません。
また、文科省が当法人に提出を要求した書類や情報は、当法人の宗教活動に関わる事項、教団としての機密、信者・職員等のプライバシーに関わるものです。中でも当法人が保有する個人のプライバシーについては、宗教法人として厳格に保護しなければならないもので、開示することはできません。それにもかかわらず、報告しなければ過料を科すとして開示を要求することは、強要に等しく、個人情報の保護、信教の自由に対する侵害に他なりません。
なお、当法人は、予算・決算・財産関係の資料については、収支計算書、月別科目別収支集計表、貸借対照表、財産台帳、予算書等を提出し、その他の信者及び職員のプライバシーに関わる情報が大量に含まれる資料については、提出しませんでした。
当法人は必要十分に報告・回答
当法人は文科省の報告徴収・質問権の行使に対し、2022年11月から2023年8月にかけて7回にわたって相当な分量の報告・回答を精一杯行いました。この労力は、文科省が設定した回答期限や要求された報告・回答の量から見てむしろ積極的な評価に値するものであり、秩序を乱したとして行政罰が科されるようなものでは到底ありません。むしろ、文科省が行った報告徴収・質問の中に、そもそも報告・回答をしなければ過料を科すという合理性が一切ない不当なものが多数存在していたというのが実情です。実際に、それらの報告徴収の中には、裁判所が不報告を「処罰しない」として、その不当性を認めた事項も多数含まれます。
宗教法人法の趣旨に反し、文科省は、未だ確認されていない犯罪の探知・捜査を行うため、思いつく限りの教団文書・データの報告徴収を不法行為と無関係に求めてきたのです。そして、そこには信教の自由に基づく教団の機密や信者・職員のプライバシーに関わるものなどありとあらゆるものが含まれていました。これらは質問権行使として許容される範囲を逸脱した不当・不適切なものであるのは明らかです。
法治主義の砦とならなかった裁判所
文科省による報告徴収・質問権の行使は、2022年7月の安倍元首相暗殺事件後に俄かに沸騰した「魔女狩り」とも言える異常な家庭連合叩きのマスコミ報道に踊らされた世論に迎合し、露骨な法の歪曲をした上で行われたものであって、悪しきポピュリズムの所産ともいうべき「戦後最悪の宗教迫害事件」です。
当法人は裁判所に対し、ポピュリズムに流されることなく、法の正義に適う判断を下し、日本国の法の支配と法治主義を守る砦となってくれることを切望していましたが、最高裁が当法人の抗告を棄却したことで、その願いはあえなく潰えました。
最高裁決定を受け、文化庁は3月5日、未回答の質問項目について回答するよう改めて当法人に通知をしてきました。しかしながら、報告徴収の結果、文科省が当法人に対する解散命令請求を申し立てた以上、今さら当法人に追加報告を求める権限など文化庁にはありません。文化庁がこのような通知を行い、それを大手メディアに報道させた目的は、「家庭連合は悪質である」という印象操作のためであるのは明らかです。
以上、文科省による報告徴収・質問権行使の実態を紹介してきました。戦前の国家による宗教弾圧を彷彿とさせるようなことが現実に起こっており、この日本で信教の自由が危機に瀕していると言わざるを得ません。
以上