コラム

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「人のために生きる」喜びを教える

家庭力アップ講座
多田聰夫

本当のやる気というのは、子供自身の中から湧いてくるものであり、そのようなものであってこそ、環境にかかわらず継続して行けるものになるのです。最終回は、どうしたら子供の本当のやる気を引き出すことができるかを考えていきます。

親であれば誰でも、どうしたらうまく子供のやる気を引き出すことができるか、悩んでしまった経験があると思います。例えば、子供を「褒めること」を通してやる気を引き出そうとしたり、時には「叱ること」で何かをやらせようとしたり、または「ものやお金をあげる」ことでやる気を引き出そうとすることもあります。この三つは、どれも外からの働きかけで子供のやる気を引き出そうとするものです。

どれもそれなりの効果はあると思いますが、本当のやる気というのは、子供自身の中から湧いてくるものであり、そのようなものであってこそ、環境にかかわらず継続して行けるものになるのです。そこで、ここではどうしたら子供の本当のやる気を引き出すことができるかを考えてみたいと思います。

1.褒めて育てることについて

まず、一つの例を通して、「褒めて育てる」ことを考えてみたいと思います。

例えば、以下のような子がいたとします。

「A君はとてもいい子で、よくゴミを拾ってくれたり、先生の手伝いをします。しかし、やり方が気になるのです。先生が見ているのを確認してからゴミを拾い、先生の視線を意識しながらゴミ箱に捨てます。そして、先生のところに来て、『ねえ先生、ぼくえらい?』と聞きます。かなり頻繁に聞くのです。」

このA君は、何かをして褒められた時に、愛されたと感じるタイプです。ですから、褒められないと愛を感じず、奉仕の実践ができにくくなってしまっています。

この場合、褒めることよりも、まずはA君を認めてあげることが必要です。認めて、必要としてあげて、感謝してあげること。A君にとって必要なのは、「個性真理体」として認めてくれる家庭なのです。

褒め言葉を行動を起こす動機づけにしていると、子供は「褒めてもらうために行動を起こす」ようになってしまう可能性があります。そうすると、「褒めてくれる人がいないとやる気が起きない」ようになってしまいます。さらには、「褒めてもらわないと傷ついて前進できなくなる」のです。つまり、他の人によって自分の価値を決める、

自信のない人」になってしまいます。そうなると、その子供には「個性真理体」としての自覚が育ちにくくなります。

2.叱って育てること

次に、叱って言う通りにやらせようとする場合です。

叱られたり、脅されたりした子供は、おびえ、その不安を解消するために、親の言うとおりに行動します。「叱る」というのは躾ではなく、脅しという罰を使った「支配」です。そこには害こそあれ、何もいいことはありません。

叱る理由を考えてみると、親の思い通りにならないので、腹を立てて叱っていることが多いと思います。そうすると、子供は「怒られない」ために行動してしまいます。それはつまり、子供も親に腹を立てながら行動していることになります。突き詰めれば、子供に対して人を憎むことを教えていることになってしまいます。

もし、子供を叱りたい思いが湧いてきた時には、一度自分が何に腹を立てているかを見つめ直してみましょう。私たち親の心の中に、「子供は~するべきだ」という考え方がないだろうか、と問いかけてみてください。

子供に対して、「~すべき」「~であるべき」という思いがあるために、腹が立つのです。一度、親の心の中にある「~すべき」「~であるべき」という思いが、本当に正しいかどうか振り返ってみましょう。正しく冷静に判断してみて、それが本当に理にかなっているならば、それを子供に教えてあげましょう。しかし、理にかなっていないのであれば、それを子供に押し付けてはいけないのです。

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