編:「二世の会」を始めて、シンポジウムを開催することになったわけですが、「信者の人権を守る二世の会」という名前にした理由を教えてください。
小:家庭連合だけにとどめたくないという思いがあって、「家庭連合」は外して、信仰者全体が該当し、信仰を持つ人たちの人権や信仰心を守っていきたいという思いでつけました。
編:先ほどの、宗教が追いやられている日本の状況を憂えてということにも繋がりますね。
シンポジウムも含めて、これまでの活動を説明してもらってもいいですか?
小:これまでの活動としては、まず有識者の方々との交渉から始めました。家庭連合に少しでも言及しておられる方がいれば、その方の著書とか、YouTubeの動画とか、手当たり次第調べて、その方のところに行って、どう思っておられるか対話しながら、最終的にはシンポジウムに出てもらえませんかと話しました。シンポジウムに限らず、他にもサポートしてくださっている方々もいるのですが、基本的には実際に会ってお話ししています。
そうして繋がった方々と一緒にシンポジウムを行う、つまり意見提言のような活動と、その内容などをYouTube配信するっていう活動がメインです。
今後は、他にもいろいろ考えているのですが。
橋:実際、全てにおいて初心者だったので、手探りで一から築いた感じですね。
1回目のシンポジウムの時は、募金箱を持って自分の所属教会に立って募金をお願いするところから始めました。
小:シンポジウムを重ねて、知名度が上がると教会員以外の方も含めて、多くの方が支援してくださるようになりました。すごくありがたいです。
橋:それと、シンポジウムのたびに、私たちの知り合いの2世たちが結構ボランティアでスタッフをやってくれるんですよ。シンポジウムの後に、出演してくださった有識者の方と、そういう2世たちと一緒にご飯を囲んで、2世は何を考えているのかなどを率直に話し合う場もあって。
小:シンポジウムが終わってヘトヘトなんですけど、緊張が解けてリラックスした食事の場で、しかもカメラ回ってないからみんな色んな話をするんですよね。
スタッフをしていた2世たちの間で、色んな議論が繰り広げられるんです。2世同士で意見がぶつかることもあるし、有識者の方と議論になることもある。ざっくばらんに色んな意見が飛び交って、その様子に有識者の方がびっくりされることがよくあります。一人ひとりが自分の意見を持っていて、こういう若者って今いるのか?って感じで。そこで先生の(二世に対する)印象も変わるようです。
橋:その様子を見れば、誰かに言われてやっているんじゃないっていうことがよく分かります。
編:本当にそれぞれが信念を持ってやっている、ということが伝わるんですね!
橋:とても良い場になっていますね。
編:活動していて良かったことは、さっき話してくださった他にはありますか?
小:結構、その後の連絡もお相手方から来ることが多いんです。これについて教えてとか、こうした方が良いとか、アドバイスも。シンポジウムで終わらず長期的なお付き合いをさせていただいています。
しかも多分野の方々と繋がったので、私自身の知識も増えたし、普段関係を持てないような第一線でご活躍されている方々から、すごく刺激をもらっています。勉強にもなるし、活動の幅も広がっていく。
あとはやっぱり、教会員がめっちゃ喜んでくれた!
元気出してくれたよね?
橋:そう!元気出たとか、そういう2世や教会員の声が多いんですよ。
教会を離れた2世からも結構連絡が来たりして、「こういう発信をしてくれてありがたい、自分は信仰がないけど応援しています」みたいな声も多いです。
小:あとはシンポジウムを見たことがきっかけで、教会に通うようになりましたっていうのが、毎回3、4件は来ますね。自分は教会と距離を置いていたけど、たまたまシンポジウムを見て教会は変わったなって思って、また通い始めましたとか。
橋:小学生や中高生からも連絡が結構あるんですよ。
小:(小学生の子が)パパと見ました。難しかったけど、パパに説明してもらいながら見ました、みたいな。かわいい(笑)。
あとは家庭連合と直接関わりのなかった方からの問い合わせもかなり多いですね。
幅広く感想が来る。すごいよね。
編:各方面からたくさんの反響があったということですね。
「二世の会」として今後の考えや展望はありますか?
小:今後は、他宗教の方々との対話がメインになってくると思うんですけど、それについても「二世の会」で話している最中です。大前提として家庭連合によって日本全体の宗教のイメージが貶められたという見方は実際あるので、その回復のためには私たちが動くしかないだろうと思っています。
なので、宗教対話といっても、まずは自分たちのことも顧みつつ、他の宗教の方々と一緒に何かできることがあるならお願いする、というスタンスですが、まだ模索中です。
橋:最近のシンポジウムでは、他宗教の方も見てくださったり、実際に足を運んでくださったりとか、徐々に増えてきました。
最近は1週間に1回以上は色んな宗教の方と会ったり、お話を伺ったりしていますが、色々と学ばされることが多いです。それも踏まえながら自分たちにできることを模索したいな、と思っています。「二世の会」は家庭連合だけのためにあるのではないので。
小:あとは、宗教二世のコミュニティのようなものも作ろうとしていて、今のところ、この二つですね。
編:宗教二世のコミュニティのスタンスは、信仰の有無に関係なくということでしょうか。
小:そうですね。
二世の中には傷ついて、居場所がないと感じている人も結構いるんですよ。信仰を持っていればまだしも、離教するという判断をした人は他人にはなかなか相談しづらいので、そういう人たちもカバーできるコミュニティという風に考えているんです。簡単ではないんですけどね。まだ模索中ですが、専門家の方とか、何人かあてがあるという感じですね。
編:最後に、家庭連合に対する今のお二人の考えをお聞きして終わろうと思います。
橋:私が思うのは、家庭連合って、愛を説く教会じゃないですか。愛の話をたくさんするから、私自身も含めて、教会員は結構「愛」に対して敏感になりやすいところがあると思います。私も実際、教会の中に愛があるのか、ないのか、教会を客観的に評価していた時期がずっと長かった。
でも最近は、私も祝福結婚を受けて、教会員の一員だという意識が芽生えてきました。今後は、祝福家庭として教えを大切にした家庭の姿って何なのか、夫婦で考えて、私の姿が教会の姿だと思って生きていけたらいいなと思っています。
親を見ても、本当に純粋に信仰生活をしてきたので、私自身も信仰を持った生き方は尊いものだという実感があります。それを引き継いでいきたいし、未来はより良い教会に発展していけたらと思います。
編:ありがとうございます。
小嶌さんは……。
小:今、一番思っているのは、世代交代がしっかりできる組織になってほしいということです。老舗のお店なども、伝統や歴史がある、長く続いたということが質が高いことの証明になるというか、一つの判断基準でもあると思うので。家庭連合は設立してまだ64年しか経ってないですが、ずっと長く続く歴史ある、成熟した組織になりたいなっていうのが一番の願いです。
そのために私は2世として、1世の頑張りや、失敗、それをどう乗り越えたのか、そういう過去を研究することが大事だと思うんですよね。その上で、守るべきものは守り、変えるべきものはみんなでしっかり話し合って変えていく。それで私たちの子どもたちに繋げていく。
あと、1世の親の世代の方々も2世の考えをよく聞いていただいて、1世、2世がお互い誇り合って3代目、4代目に繋いでいく。そういう組織になりたいなと思っています。
もう一つは、日本にとって家庭連合はあったほうがいいよね、とみんなから思われる組織になりたいと思います。既に有益なものは家庭連合の中にたくさんあると思うんですよ。それを社会に正しく伝える努力をしていくことが願われることかなと。
家庭連合の実情を理解していただくために、「二世の会」が社会との架け橋になれたらなと思います。
橋:確かに。外部の方からのアドバイスや教会がどう見えているかなど、そういう外からの声を「二世の会」を始めてからたくさん聞いてきました。私たちも未来の世代として、日本で認められる教会に成長できるように、活動しながら真剣に考えていきたいと思います。
編:今後が楽しみですね!
まだまだお聞きしたいことはありますが、今日は以上で終わりです。
たくさんのお話をありがとうございました。
小・橋:ありがとうございました!
おわり