編集:今日はよろしくお願いします。
まず、北山さんが信仰を持つようになった経緯から教えていただいても良いでしょうか。
北山さん(以下、北と省略):私は、6人きょうだいの2番目で、次女なのですが、私が生まれた後に母親が家庭連合に伝道されたので、信仰二世の立場です。母に誘われたことがきっかけとなって、私は小学校低学年のころから家庭連合の子女向けの礼拝に通うようになりました。しかし、高校に進学して以降、しばらく教会から足が遠のいていました。
私が教会に行かなくなってから10年くらい経った時に、父が心筋梗塞で倒れたんです。かなり危ない状況だったのですが、母が父のために、教会で祈願書(願い事を書いて奉納するためのお札)を書いたんです。すると、途端に父の状態が好転して、回復したということがあったのです。最終的に仕事にも復帰して、病院の先生も父の回復力に驚いていました。その奇跡の回復を見て、それまで教会から足が遠のいていた姉と妹がまた教会に通うようになりました。私はそれですぐに教会に戻ってきたわけではなかったのですが、妹は、私のために祈り続けてくれていたみたいです。
紆余曲折があって、2015年くらいに、私は久しぶりに教会に顔を出しました。すると、偶然その日が恩赦(罪の赦し)の聖酒を授かる日だったんです。聖酒を授かると、胸のつかえが取れたような感じで、また教会に通えるようになりました。
編:ありがとうございます。ところで、北山さんは信仰に関することでトラブルになり、職場を解雇されたとお聞きました。
北:はい、私は接客業をしているのですが、4、5年前に、首都圏にある小さなお店で働いていました。そのお店の男性のオーナーと、以前は仲良く何も問題なく仕事をしていました。当初は、その職場が働きやすいと感じていたんです。ところで、私は自分の心情を整理するために、ずっと心情日誌(日記)を書いていました。それで一時期、休憩時間に書くために、心情日誌を職場に持ってきていたのですが、ある日、職場に置き忘れてしまったんです。すると、オーナーにその心情日誌を見られてしまったんですね。職場の不満も書いてありました。そうしたら、すかさずオーナーから日誌の内容に関して長文のメッセージが来て、そこから色んないざこざが始まりました。
心情日誌には私の信仰に関する内容もたくさん書いていたので、オーナーは私が家庭連合の信仰を持っていることを知ったようです。その後、オーナーからメッセージアプリでいじめのような内容が送られるようになりました。
編:送られてきたメッセージは、どんな内容だったのでしょうか?
北:例えば、あなたの勤務態度が悪い、ということが長々と書かれた文章とか、あなたはこの店にいるべきではないとか、私が自ら職場を辞めることを促すような内容が次々と送られてきました。私は、オーナーは私を辞めさせようとしていると感じたので、絶対に負けるもんかと思って、自分からは辞めないと決めて通い続けていました。
オーナーは(悪口を)私に直接言ってくることはなく、いつも業務時間外にメッセージが送られてきました。ひどい時はスマホの通知がひっきりなしに来て、大変でした。ある時、オーナーと私の共通の知り合い(お店のお客さん)のAさんと私で食事に行ったときに、オーナーがAさんに「〇〇ちゃん(北山さんの本名)は統一教会の子だから、連絡を取るのはやめた方がいいよ」と伝えていたことが分かったんです。Aさんの夫はお坊さんで、Aさん自身も信仰を持っていたので、私の信仰に理解を示してくれました。ただ、オーナーが「(北山さんの)信仰のことを何度も言ってくる」とAさんから聞いたとき、オーナーは私の信じる宗教を理由に職場を辞めさせたいのだな、と私は思ったんです。
オーナーに心情日誌を見られてから、1か月ほどメッセージでのやり取りは続きました。その間も、お店では普通に顔を合わせていました。ユニオン(労働組合)にも行ったりしながら、結局、私は会社都合で解雇となりました。
編:その後、前の職場での出来事の影響などはありましたか?
北:私がその職場を解雇になったのは、2022年の少し前のことなのですが、安倍元首相の事件の後にもまた、オーナーと私の共通の知り合い(お店のお客さん)2、3人から、「オーナーが、統一教会について話していたけど、どういうこと?」といったメッセージが私に送られてきて、一人一人に説明しなければならなくなったことがありました。それによって知り合いとの関係が悪化することは無かったのがせめてもの救いでしたが、オーナーはまだ私の信仰のことを周りに話しているんだと思って、ストレスでしたね。
編:最後に、今のお気持ちをお聞かせください。
北:オーナーから送られてきた文章を見返すと、当時を思い出して今でも気分が悪くなります。私は結構気が強い方で、このトラブルの後も新しい職場で仕事を続けましたが、私と似たようなトラブルが起こった時に、誰かに話すことをためらったり、我慢したりして声を上げられない人も多いのではないかと思います。今、解雇されるまでいかなくても、信仰を理由に職場や学校でいじめに遭う人が増えているのではないかと、心配しています。
編:今日はありがとうございました。